7月第3週の面白かった記事
- AIはオープンソース開発のスピードを低下させる。ピーター・ナウアがその理由を解説します。/AI slows down open source developers. Peter Naur can teach us why.(John’s internet house)

・言及されている記事はこれ。少し前にMETR(Model Evaluation & Threat Research)という非営利団体が公開した調査結果が話題になっており、それについて解説した記事。
・エンジニアを対象にした調査で、プロジェクトの中でLLMツールを使った場合に、生産性が高まるの?どうなの?を観察するもの。結果として、AIの導入によって完了時間が19%長くなることが判明。AIツールが開発者の作業を遅らせた。
・この調査に対する解説記事。「メンタルモデル」が重要な概念であるとする。上限の決まったコンテキストウィンドウの中で、LLMにプロジェクトの理念(メンタルモデル)を正しく理解させるのは難しいという話。共通理解が欠如した相手(LLM)と一緒にプロジェクトを進めても、生産性は落ちるよね、という。一方、惰性で動いているプロジェクト(メンテルモデルを持たない)においては、LLMを使うことは効率的かもしれないが、そんなプロジェクトに何の価値がある??
- メディアのAIへの転換は現実的ではなく、うまくいかないだろう/The Media's Pivot to AI Is Not Real and Not Going to Work(404 Media)

AIを活用して「効率化」を図るのは間違った行為であり、ジャーナリストに求めるのも間違いです。メディア企業が生き残るためにできる唯一のことは、人間性を重視し、ジャーナリストにAIではできない記事の書き方を教え、若いジャーナリストが複雑な概念を織り交ぜ、繰り返しますが、AIにはできない、そしてこれからも決してできない方法で、人間が共有する経験に焦点を当てた記事を書くために必要なスキルを習得できるように支援することです。
「最近、スローフード運動と農場から食卓へという運動についてよく考えていました。どちらもファストフードへの反発から生まれたものです。ファストフードには多くの利点がありました。安価で、豊富で、すぐに手に入る。しかし同時に、より健康的で職人的なやり方を求める市場も開拓しました。クリエイティブ業界でも同じようなことが起こるのではないかと考えています。リアルで人間味があり、AI企業の粗悪品製造機から出てくるようなものではないもののための、一種のクリエイティブ・ルネサンスです。」
・アチい。そうなのだ。必ずカウンターは生まれるし、すでに起きつつある。みんなも限られた可処分時間のなかで、粗悪なスロップに時間を取られたいなんて思いませんよね??誰もがAIをオプトアウトする権利はある。自分のお気に入りの場所を汚されないためにも、NOと言い続けましょう。でも、これまで通りタダでコンテンツを享受できると思わないほうが良いかもしれない。制作者を灰になるまで働かせるために、こちらも身銭を切り続けましょう。
・robots.txtでクローラーをブロックするとSNSのプレビューが表示されなくなる/I was wrong about robots.txt(Evgenii Pendragon)
ファイルを変更してからというものrobots.txt
、LinkedInの投稿に記事のプレビューが表示されなくなってしまいました。以前は問題なく表示されていたので、最初は何が原因なのか分かりませんでした。それに加えて、LinkedInのアルゴリズムによって、私の投稿が表示されるつながりがどんどん少なくなっていることに気づきました。一時的な問題なのかと思い、少し戸惑いました。しかし、その後2週間経っても、消えていた投稿のプレビューは表示されなくなりました。
へー。
- 超パーソナライズAIスロップサイロマシンが登場/The Hyperpersonalized AI Slop Silo Machine Is Here(404 Media)

Facebookの過去の画像投稿で見てきたように、これらの奇妙な画像の多くは、広告で埋め尽くされたAI生成の「ニュース」ウェブサイトにリンクされています。他にも、大小さまざまな有名人を使ってまったく同じことを行っている同様のページが何千とあることは間違いありません。こうして、世界中のLSUファンが、コーチが救急隊員になったり、お気に入りのテレビ番組の審査員が犬の救助者になったりする様子を想像できるインターネットが作られているのです。
・生成AI以前から存在していたスマホゲームやSNS中毒と同質の人間の認知バイアスを狙った攻撃とも言える。常に画面に新しい情報を流して手放せなくなるような、ある意味人間の脆弱性を狙ってバグを引き起こすようなやり方。タチの悪いことに、そのようなコンテンツの住まう空間としてソーシャルメディアと相性は抜群だ。
・このような中毒から逃れるには、どうすればいいだろうか。以前目にした記事で、印象に残っている方法があるので紹介したい。自分自身にマインドコントロールをかけるというものだが、案外悪くない方法だと思うのだ。目には目を、洗脳には洗脳を。
最後のヒントは比較的最近のものですが、私は非常に楽観的です。これは、携帯電話を使うたびに特定の思考パターンを持つように脳を訓練するというものです。企業が、あなたが携帯電話を使うように仕向けることで、あなたの無駄な時間と集中力から利益を得ているところを想像してみてください。私のお気に入りの番組の一つは「ミスター・ロボット」です。この番組は、不安に悩む優秀なハッカー、エリオットの物語です。エリオットは常に監視されているのではないかと心配しており、スーツを着た男たちでいっぱいの会議室で自分の悪口を笑っている姿を頻繁に思い浮かべます。
- 私は保存したPocketリンクから自分自身をプロファイルするためにo3を使用しました/I used o3 to profile myself from my saved Pocket links(noperator)

Simon Willison が最近o3 で地理推測チャレンジを行ったことを思い出し、「私が保存した URL のリストに基づいて、o3 は私自身について何を教えてくれるだろうか?」と考えました。そこで、o3 との一時的なチャット (ChatGPT のメモリ機能は使用しません) を開き、次のように促しました。
・Pocket(サ終してしまったブックマーク保存サービス)に保存したURLリストをChatGPT o3に読み込ませ、プロファイリングさせるという実験。年齢層や居住地といった情報まで推測させることができた。以前に検索履歴に基づいてマッチングをさせるマチアプサービスを見たことがあるが、商業的にはそういうサービスに組み込むと面白そうですね。